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業界の概要 > 生めん類業界の現状(21年版 16年版)
○ 生めん類業界の現状(平成16年版)
原田 勝雄
1.種類
生めん類の種類を大別すると次のものがある。
(1)うどん
- 生・茄・蒸・半生・冷凍
本場甲州ほうとう、名産さぬきうどん、名産きしめん等
(2)日本そば
- 生・茄・蒸・半生・冷凍
特産信州そば、本場出雲そば等
(3)中華麺
- 生・茹・蒸(焼そば)・油揚・半生・冷凍
本場札幌ラーメン、名産長崎チャンポン、名産長崎炒麺、本場沖縄そば等
(4)皮類
- 生
(餃子、焼売、雲呑、春巻)

2.生産動向
(1)小麦粉使用トン数
小麦粉使用トン数(CY)でみると、全体としては僅かながら年々増加傾向で推移していたが、平成7年の729,338トンをピークとして、平成8年からマイナスを続けていたが、平成12年では686,719トンと前年比を0.1%ながら持ち直し、平成13年は696,464トン(前年比1.4%)と2年連続微増となったが、平成14年から微減となり684,968トン(前年比−1.5%)、平成15年は675,212トン(前年比−1.4%)となり、ここ数年では低落傾向となっている。(図表1)
(図表1)生めん類の国内生産推移    (単位:原料小麦粉使用千トン)
合  計(前年比) うどん 中華麺 そば
平成 7年 729,338( 1.4) 256 400 75
8年 724,846(-0.6) 254 400 72
9年 706,374(-2.5) 246 389 72
10年 691,951(-2.0) 241 380 71
11年 686,298(-0.8) 244 376 68
12年 686,719( 0.1) 250 369 67
13年 696,464( 1.4) 254 374 68
14年 684,968(-1.5) 250 367 68
15年 675,212(-1.4) 254 357 63
〈農林水産省「米麦加工食品生産動態等統計調査」〉


(図表2)生産量に占める構成比(平成15年生産量)
(単位:原料小麦粉使用千トン)
品  目 生 産 量 構成比 (%)
う ど ん   生 35,303 5.2
218,834 32.4
254,137 37.6
中華めん  生 184,847 27.4
52,062 7.7
100,041 14.8
皮類 20,266 3.0
357,216 52.9
日本そば  生 22,978 3.4
40,882 6.1
63,860 9.5
合   計 675,213 100.0
<資料:農林水産省「米麦加工食品生産動態等統計調査>
(2)品目別の生産数量
 平成15年の品目別生産量は、原料小麦粉使用量で中華めん、うどん、そばの順に生産量が多い。生産量に占める構成比は、茹うどんの218,834トン(32.4%)の比率が最も高く、次いで生中華めんの184,847トン(27.4%)の順となっている。
種類別でみると、生・茹うどん、蒸中華めんは、前年比微増しているが、生中華めん、茹中華めん、皮類、生日本そば、茹日本そばは減少傾向にある。全体の傾向としては伸び悩みである。
この主な要因としては、ファーストフーズの値下げの影響やCVSの弁当類等との競合等が挙げられる。
近年の傾向としては、製品特性を生かして "冷凍めん"や具材とめんをセットした"調理めん"が昭和60年以降大幅に伸長している。
また、平方15年頃より、特にCVSで展開している乾めんを茹で戻し使用した冷しかけの調理めん、電子レンジ対応のめん類が開発され、その伸長は著しく、めんのコシや歯ごたえ、簡便性を追求した製品特性が受け入れられ、今後も大幅な伸びが予想される。
なお、平成16年は蒸中華めん(焼きそば)の生産量が顕著な伸びを示している。これは大手製めん企業が焼きそばの生産を着実に伸ばしていることと、外食産業等の関連企業が焼きそば製造に乗り出した点にある。(図表2)

(3)都道府県別の生産数量 
(図表3)都道府県別の生産数量
順位 県  名 数量(トン) 増減率(%) シェア(%)
1 埼 玉 県 76,822 0.4 11.4
2 香 川 県 66,581 9.4 9.9
3 愛 知 県 43,244 -4.3 6.4
4 北 海 道 42,224 1.8 6.3
5 東 京 都 40,507 -9.3 6.0
6 神 奈 川 31,729 -1.7 4.7
7 大 阪 府 27,393 -6.8 4.1
8 群 馬 県 24,499 6.6 3.6
9 福 岡 県 21,849 -4.5 3.2
10 福 島 県 21,388 4.6 3.2
累  計 396,236 0.5 58.6
合  計 675,212 1.4 100.0
<資料:農林水産省「米麦加工食品生産動態等統計調査」>

 1)都道府県別
平成15年の都道府県別の生産数量でみると、全国第1位は埼玉県で76,822トン(シェア11.4%、増減率0.4%)で、前年に続き日本一の座を不動のものにしている。以下2位は香川県で66,581トン(9.9%、9.4%増)、3位愛知県43,244トン(6.4%減)、4位北海道42,224トン(6.3%増)、5位東京都40,507トン(6.0%減)となっている。
前年と上位3県の順位は変わらないが東京都と北海道が、入れ替わった。
香川県は最高の伸び率を示したが、これは全国的な"さぬきうどんプーム"がその主な要田となっている。
なお、占有率の高さや増減は、人口の集中度、都市構造の変化やリストラによる経済構造の変化など消費人口の移動に影響されると思われるので、生産の過半数が大都市周辺の生産地に集中することは避けられない。他に、名産・特産等、地域有名ブランドめん類の供給基地としての役割を担う生産地の存在も見逃せない。(図表3)

2)種類別
都道府県の種類別の生産量は、次のとおりとなっている。(図表4)
 (図表4)種類別の上位3位の生産数量
うどん(生)  生産量 35,303トン
順位 県名 生産量(トン) シェア(%)
1 香川県 12,032 34.1
2 愛知県 5,571 15.8
3 埼玉県 2,864 8.1
累計 20,467 58.0
中華めん(蒸)  生産量 100,041トン
順位 県名 生産量(トン) シェア(%)
1 埼玉県 23,758 23.7
2 神奈川 10,897 10.9
3 愛知県 10,272 10.3
累計 44,927 44.9
うどん(茹)  生産量 218,834トン
順位 県名 生産量(トン) シェア(%)
1 香川県 42,134 19.3
2 埼玉県 18,493 8.5
3 東京都 12,287 5.6
累計 72,914 33.4
皮類  生産量 20,266トン
順位
県名
生産量(トン)
シェア(%)
1 東京都 3,124 15.4
2 香川県 1,944 9.6
3 福岡県 1,892 9.3
累計 6,960 34.3
中華めん(生)  生産量 184,874トン
順位 県名 生産量(トン) シェア(%)
1 埼玉県 23,061 12.5
2 北海道 21,855 11.8
3 東京都 18,049 9.8
累計 62,965 34.1
日本そば(生)  生産量 22,978トン
順位 県名 生産量(トン) シェア(%)
1 長野県 2,754 11.9
2 香川県 2,330 10.1
3 北海道 1,955 8.5
累計 7,039 30.5
中華めん(茹)  生産量 52,062トン
順位 県名 生産量(トン) シェア(%)
1 大阪府 6,143 11.9
2 沖縄県 4,480 8.6
3 福岡県 4,436 8.5
累計 15,059 29.0
日本そば(茹)  生産量 40,882トン
順位 県名 生産量(トン) シェア(%)
1 埼玉県 3,068 7.5
2 静岡県 2,848 7.0
3 香川県 2,838 6.9
累計 8,754 21.4



(図表5)
一世帯当たりの年間支出額の推移
  穀類費(円) 茹うどん・そば(円)
平成 7年 105,572 4,111
8年 102,244 3,996
9年 100,492 4,071
10年 98,103 4,177
11年 96,084 4,017
12年 91,367 3,801
13年 87,454 3,661
14年

86,528

3,915
15年 87,805 4,020
〈資料:総務省「家計調査」〉
3.年間支出額の推移
家計費中に占める茹うどん・そばの一世帯当たりの年間支出額の推移では、生産数量と同様に支出額も同様な数字を示している。
食糧費に対する茄うどん・そばの比率はここ10年間0.4%と変わっていない。
なお、穀類費に対する比率では、ここ10年間は4.2%前後を示していたが、平成14年が4.5%、平成15年には4.6%と伸びている。(図表5)


4.市場規模
生めん類業界の市場規模は、諸説があるものの、メーカー出荷額で4,000〜4,500億円(茄・生めん類3,450億円、冷凍めん類1,050億円)と推定している。

5.流通経路
流通経路は、平成14年の農林水産省の調べによると、卸売業者・商社から小売店経由が32.1%と最も多く、次いでスーパー・デパートの21.3%、飲食店15.0%の順となっている。
平成11年までは卸売店が16.3%であったものが、2倍の伸びを示している。


6.企業・工場数等の推移
(1)経営形態別企業数
農林水産省の調べによると、平成14年4月現在の生めん類製造の総企業は3,534企業あり、経営形態別企業数では個人が1,633企業と全体の46.2%を占めている。会社法人は51.3%であり、株式会社が762企業(21.6%)、有限会社が987企業(26.4%)、合資会社が52企業(1.5%)、合名会社が10企業(0.3%)となっている。
(2)工場数の推移
工場数の推移をみると、昭和43年は6,751工場であったのが、漸次減少し、昭和56年は5,866工場、平成5年は4,345工場、平成8年は3,869工場、平成14年には3,591工場となり、約36年間で3,160工場とほぼ半数に減少している。
特に、零細工場である従業員20人以下が、昭和43年は6,197工場であったものが、平成14年には2,907工場(5人以下1,850工場、6人〜20人1,057工場)となり、零細工場の減少が著しい。
(3)生産能力別工場数
 生産能力別工場数をみると、日産100袋未満の工場の減少が顕著であり、100袋以上500袋未満の工場も減少しているが、一方、500袋以上の工場が増加傾向にある。
(図表6)生産能力別工場数   (平成14年4月現在)
日産生産能力別 工場数(平成5年比%) 構成比(%)
10袋未満 1,565(74.9) 43.6
10袋以上20袋未満 563(69.6) 15.7
20袋以上50袋未満 548(70.6) 15.3
50袋以上100袋未満 270(86.5) 7.5
100袋以上300袋未満 196(70.3) 5.5
300袋以上500袋未満 51(91.1) 1.4
500袋以上 45(187.5) 1.2
不  明 353(−) 9.8
合  計 3,591 100.0
<資料:農林水産省「米麦加工食品生産動態等統計調査>
 このような推移からもわかるように、生めん類企業は中小零細工場の減少はあるが、依然比率が非常に高く、また、家族従業員数が占める割合は、小規模になるほど高く、家族主体型の企業体質を持っていることがわかる。
一方、500袋以上の工場が平成5年の24工場であったのが平成14年には45工場と9年間で21工場と増加しているのが特徴である。
なお、中小零細工場の減少の主な要因としては、生めん類工場の多くは戦後の創業であるが、この創業者が一定の年齢に達し後継者などの影響が考えられ転廃業するという形がある。
また、市場が伸び悩むなかでの競争激化による淘汰が進行している一方で、既存大手企業の新増設や異業種企業の新規参入による生産・販売シェアの上昇が挙げられる。(図表6)
(4)製造企業(工場)の特性
生産構造は地域に密着した地域食品(民族食品)、伝統的食品として、また、特に日販品としての商品特性から地域社会において、中小製めん企業はこれまでに非常に大きな役割を果たしてきたが、市販用は大手製めん企業または地域の準大手製めん企業、業務用は中小零細製めん企業が受持ち分けあっていた。
しかし、品質管理などの問題や新製品開発能力および供給力のある大手製めん企業の比率が高くなり、特に、大手量販店やCVS等、都市圏を中心に大手製めん企業ブランドの進出が激しく、地域の準大手製めん企業のブランドが売場から段々縮小或いは消えつつある。
これはまだ大手量販店の場合に多く見られる現象であるが、今後はローカル量販店にまで拡大されていくと考えている。

7.製めん機械の販売額
製めん機械の販売額は、社団法人日本食品機械工業会の調べによる平成14年度国内販売額は、製パン・製菓、醸造用、肉類加工の食品機械を除く全分野では前年比に比べ減少傾向であった。
製めん機械も64億3,000万円(95.4%)減少し、134億4,100万円に留まった。
これは設備投資の抑制等が考えられる。
一方、平成14年は新開発のミキサーの需要は増加している。この現象は他社との差別化商品の開発に主に流通小売業からの新たな要求に対応したものと云える。
加水率をアップさせた超多加水製法の超多加水ミキサーや真空ミキサーの需要は、めん質の改善への動きが活発になり、新たな活路を見い出すための取組みがでていると考える。


8.おわりに
イ.企業にあっては“安心・安全”の製品づくりを力点に置き、商品の品揃えの充実、原料や製法にこだわった高品質、高価格製品による「価格より価値への移行」と独自(こだわり)の製品づくり、また、生産から物流に至るまでのコストの削減の見直し等を図ることが必要である。

ロ.今後大手・中堅・中小が、いかに棲み分けを図っていくかが課題と言える。他食品業界と構造が少し違って生めん類は日配という製品特性をもっているため寡占化は進んでいるものの、大手製めん企業の独占とはなりにくく、また、生産構造は地域に密着した地域食品、伝統的食品として中小製めん企業は今後も役割を果たしていくと考えている。
これまで大半の工場では業務用飲食店や小売店への製造卸を主体としてきたが、特に今後の有力な販売手段の方策の一つとして、工場に売場を併設して販売を行なう工場直売では、地域密着型のできたての新鮮なめん類を、これまで以上にこだわって提供することができる。
郵パック等の通信販売或いはインターネットによる販売では特産・名産は勿論これまで以上に付加価値の高い製品を提供できる。
また、近年国内産小麦の活用が高まっているがこの研究開発も重要な役割の一つとなっている。

ハ.寡占化、自然淘汰は、生めん類業界のみならず、いずれの業界を問わず進んでいると云われているが、業界団体としての業界の健全な発展を図るためには、製めん企業の経営力の強化(製造技術の向上、人的資源の充実、情報力の強化、低価格進行への対応、収益性の向上など)、食品衛生思想の向上や品質及び衛生管理の向上、関係法令の遵守(食品表示、食品衛生法、計量法、容器包装リサイクル法など)の徹底、および当面する諸問題に対する対応策並びに中・長期的且つ総合的な展望に立った施策づくりを図っていく必要がある。
また、消費者向けの消費拡大策をはじめ納品先向けの取扱いマニュアル等、PR活動の充実強化策も併せて図っていく必要がある。
なお、小麦粉の内外価格差はまだ大きく価格是正も今後の大きな課題の一つである。

ニ.業界を取り巻く環境が大きく変化するなかで、業界団体である組織が果たすべき役割も変化してきており、組織の重要性が益々高まってきている。一方で組織の存在意義、価値が問われているが、改めて組織の今後のあり方を考え、これへの的確な対応が必要になってきている。

(全国製麺協同組合連合会 事務局長)

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